技術情報

屋上緑化の性能

屋上緑化への様々な要求事項を満たすには、保水・排水・通気性能、耐根性能、耐風圧性能、遮熱性能など様々な性能が求められます。

保水・排水・通気性能

植物には新鮮な水と空気が欠かせません。植物生育に必須の新鮮な水と空気を供給する、立体構造のFDドレインを紹介します。

FDドレイン

FDドレインの特長

1枚の立体構造パネルに保水・排水・通気機能を一体化したのがFDドレイン。1枚のパネルが3つの役割を持つことで、大幅に軽量化されているうえ、それぞれの層としての機能も向上しています。

POINT 1
樹脂製の立体構造パネル
POINT 2
1枚のパネルで保水・排水・通気機能の3機能を担う
POINT 3
植栽基盤の軽量化、薄層化に大きく貢献

FDドレインの機能

表面の凹部で保水し、オーバーフローした余分な水は、パネルとパネルの隙間から下層部に流れ落ちていきます。パネルの裏側では、躯体勾配に沿って流れる水がルーフドレインを抜けていき、排水層として機能。さらに、立体構造により生まれる空隙部が通気層としての役割を果たします。

POINT 1
パネル凹部で保水
POINT 2
パネル間の隙間から余分な、余分な水を排水
POINT 3
立体構造により生まれた空間が、通気層として機能
POINT 4
ホワイトロームは保水空間維持剤として機能
FDドレインLN/LH
排水量(水勾配:1/100) 3.3m3/h
排水対応流れ長さ(m):
緑化域の降雨水のみとして計算
時間あたりの降雨量:100mm 33
時間あたりの降雨量:50mm 66

FDドレインの排水性能

実際の排水は、分岐・合流をともなう路系に類似した形態をとります。
しかし、この場合、解析が複雑となりますので、ここでは開水路流として解析しました。
ある一定空間の単位時間排水量はマニングの公式より求められます。
FDドレインについて求めた排水量を右表に示します。
水勾配1/100の場合、FDドレインは3.3(m3/h)の排水性能を有しています。これは1時間100mmの降雨量において流れ長さ33mまでは水が滞習することなく、暗渠(あんきょ)部分で排水されることを示しています。
流れ長さがより長い場合は、別途排水路を設けることが必要です。
また、緑化域以外からの降雨水が緑化域に流れ込まないような排水計画も必要です。

緑化区域の排水性能は見切材や緑化外周部の排水空間で大きく左右されますので、注意が必要です。

排水に関する注意点

耐根性能

植物の根は驚くほど強く、長い年月の間に防水層を貫通し、漏水事故を引き起こすこともあります。そのため、屋上緑化にはあらゆる場合を想定した、確かな性能を持つ耐根層が必要とされています。G-WAVEは、耐根層はもちろんのこと、さらに耐根補助層を設けるケースを想定した安心のシステムとなっています。

耐根シート ルートガードD

ルートガードDの特長

ルートガードDは、寸法安定性に優れ、長期的に根の侵入を防止する耐根シートです。耐水性にも優れており、土中の水分による変形や変質がありません。植物の根に対する高い抵抗性を備えながら、経年後も安定した効果を期待できるシートです。

ルートガードD

耐根性能確認試験

ルートガードDと防水層として使用される一般ストレッチルーフィングの耐根性能を比較しました。根の生育力が非常に強いとされているクマザサを用い、約1年間放置した後の様子が左の写真です。
根の進行を防ぎきれない一般ストレッチルーフィングに比べて、ルートガードDが高い耐根性能を有していることが分かります。

耐根補助材 FDフィルム

FDフィルムの特長

さらに確実性を期すための耐根補助材として「FDフィルム」をご用意しています。表面が滑らかなフィルムは、植物根を滑らせて根が防水層に向かうことを防げます。施工時に幅2mのフィルムを1mずつ重ねて根の侵入経路を長くすることで、耐根層に根が到達する時間をより遅くする効果を発揮します。

FDフィルム

FDフィルムの効果実例

左は施工28年経過した植栽を撤去後、FDフィルムの重ね部分(1m幅)をめくった場面です。太い根が張っていますが、フィルムは貫通していませんでした。
あくまで補助材ですので、根の侵入を止めることはできませんが、これだけの量の根が直接耐根層に接することを防いでいるという点から、耐根層ルートガードDの負担軽減に大きく貢献していることがうかがい知れます。

耐風圧性能

気候や建物、植物の高さにより、風圧のかかり方は変わります。そこで耐風対策はそれぞれの環境を考慮して、慎重に立てていかねばなりません。屋上緑化にしても、庭園型・薄層・軽量型で耐風対策はことなります。庭園型では正の風圧によるトラブルが多く、薄層・軽量型では負の風圧によるトラブルがよく見受けられると報告されています。

各仕様における固定の仕組みと耐風圧性能

FD-U

FD-Uでは、強力な両面粘着テープでFDコーンを固定します。植栽ユニット他を設置後、FDワッシャーで締め付けることでユニットは確実に下地へ固定される仕組みです。

POINT 1
FDコーンにワッシャーを締め付け、植物・土壌飛散防止ネットと植栽ユニットを挟み込むようにして固定(4ヵ所/㎡)
POINT 2
強力な両面粘着テープ「エコムテープ20」でFDコーンを固定
FD-U仕様の耐風圧性能検証
下地接着面積 約820cm2/m2
(FDコーン86:205cm2/カ所×4)
下地接着強度 エコムガード/エコムテープ20/FDコーン86の長期接着強度は約20N/cm2(40℃温水浸漬3年) 1m2あたりの接着強度は、20N×820cm2=16,400N/m2

FD-LE

FD-LE・GLもFD-Uと同様に、粘着テープによって保水・排水・通気パネル「FDドレインLN」を固定した後、人口軽量土壌他を敷設します。帯状に貼り付けたテープがFDドレインをしっかりと下地へ固定します。

POINT
帯状に貼り付けた「エコムテープ20」でFDドレインドレインLNを固定(2列/㎡)
FD-LE仕様の耐風圧性能検証
下地接着面積 約464cm2/m2
下地接着強度 エコムガード/エコムテープ20/FDドレインの長期接着強度は約20N/cm2(40℃温水浸漬3年) 1m2あたりの接着強度は、20N×464cm2=9,280N/m2

耐風圧についての詳細はこちら

遮熱性能

屋上を緑化すると水分が蒸発し地表の熱が奪われるため、特に夏場の建物においては緑の日傘(遮熱)効果が見られます。
下の実例①では、赤外線サーモグラフで見ると緑化していない屋根の表面温度は約68.3℃に対して、緑化部分の表面温度は40.7℃前後を推移しており、27.6℃近い温度差があることがわかります。特に効果が見られる屋上直下のフロア(天井裏)では約2.0℃の低下が見られます。
これらは直接冷房費の節約につながるため、省エネルギー効果が期待できます。

実例① 三菱電機(株)稲沢製作所 第15工場屋上緑化

緑化面積:5161.2m2 緑化仕様:FD-LE(土厚80mm) 計測日2008年8月12日
緑化面積:5161.2m2 緑化仕様:FD-LE(土厚80mm) 計測日2008年8月12日

実例② 東京都内某ビル屋上緑化

緑化面積:382.5m2 緑化仕様:FD-LP(土厚300~600mm) 計測日2010年8月18日

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