技術情報

屋上緑化設計上の注意

植栽に適した防水工法や屋上が受ける雨水などの排水方法など、屋上緑化を設計する上では様々な注意事項があります。

防水について

屋上緑化用防水に求められる主な性能は4つあります。水密性、耐荷重性、耐根性、そして最も重要な防水層の耐久性。一旦緑化すると、防水層の点検・修理は大変な時間と費用を必要とします。しかし、耐久性が高ければ、点検・修理までの時間が長くなり、結果的に費用の節約に繋がるのです。田島ルーフィングのアスファルト防水は、これまでの実績と現場から採取したデータに基づいて耐用年数を割り出し、安全な屋上緑化を実現します。

植栽に適した防水工法

◎:推奨する防水工法です 
◯:採用可能です 
△:採用にあたっては条件があります 
✕:適応していません

アスファルト防水

防水種別
・工法
防水層仕上げ 植栽基盤 注意点
庭園型 薄型層
熱工法
冷熱併用工法など
保護コンクリート
(断熱/非断熱)
耐根層必須
露出断熱
  • 耐根層必須
  • 積載荷重500kg/㎡まで
  • 庭園型では、保護剤(バリキャップなど)の設置を推奨
露出非断熱
  • 耐根層必須
  • 庭園型では、保護剤(バリキャップなど)の設置を推奨

改質アスファルトシート防水

防水種別
・工法
防水層仕上げ 植栽基盤 注意点
庭園型 薄型層
常温粘着工法
トーチ工法
保護コンクリート
(断熱/非断熱)
耐根層必須
露出断熱
  • 耐根層必須
  • 積載荷重500kg/㎡まで
  • 庭園型では、保護剤(バリキャップなど)の設置を推奨
露出非断熱
  • 耐根層必須
  • 庭園型では、保護剤(バリキャップなど)の設置を推奨

改質アスファルト防水

防水種別
・工法
防水層仕上げ 植栽基盤 注意点
庭園型 薄型層
常温複合工法
など
保護コンクリート
(断熱/非断熱)
耐根層必須
露出断熱
  • 耐根層必須
  • 積載荷重500kg/㎡まで
  • 庭園型では、保護剤(バリキャップなど)の設置を推奨
露出非断熱
  • 耐根層必須
  • 庭園型では、保護剤(バリキャップなど)の設置を推奨

塩ビシート防水

防水種別
・工法
防水層仕上げ 植栽基盤 注意点
庭園型 薄型層
接着(密着)工法 露出断熱/非断熱
  • シート厚は2.0mm
  • 断熱仕様では軽歩行仕様(Kウォーク)を推奨
機械的固定方法 露出断熱/非断熱
  • シート厚は2.0mm
  • 植栽見切り底部には補強プレート必須

加硫ゴムシート

防水種別
・工法
防水層仕上げ 植栽基盤 注意点
庭園型 薄型層
接着工法
機械的固定工法
露出

ウレタン塗膜防水

防水種別
・工法
防水層仕上げ 植栽基盤 注意点
庭園型 薄型層
高伸長型 露出断熱/非断熱
  • 耐根層必須
  • 断熱仕様では軽歩行仕様(Kウォーク)を推奨
高強度型
(超速硬化型
スプレー)
保護コンクリート 庭園型では耐根層必須
露出断熱
露出非断熱 庭園型では耐根層必須

FRP塗膜防水

防水種別
・工法
防水層仕上げ 植栽基盤 注意点
庭園型 薄型層
密着工法
通気絶縁
複合工法
露出非断熱 100㎡以下の小面積を推奨

排水について

屋上が受ける雨水などを地上に流す道の出入口が排水口。その出入口が狭くなれば、水は流れにくく、完全に詰まってしまえば、水は溜まっていくばかり。屋上が水に浸かりっぱなしでは、植物の生育に悪影響を及ぼし、当然ながら、建物にも良いはずはありません。水害事故や植物の生育不良を防ぐためにも、排水口周りの対策をしっかり行うことが大切です。

排水溝の目詰まりによる排水阻害対策

FDフィルターの透水性能

屋上緑化にとって、植物の生育に必要な水にまつわる性能は常に高いクオリティが求められます。流水量の安定性に影響する透水性能もその1つ。客土、給水、乾燥のサイクルを長期間付与し、透水性能を実験したところ、湿潤、乾燥のサイクルを経ても、FDフィルターは目詰まりすることなく、安定した透水性能を示しました。

植栽排水口の目詰まり対策

植栽排水口の内側にDOパイプを取り付け、FDフィルターを設置します。

排水計画

排水計画に関する注意点

  • 屋根の排水勾配は、1/100~1/50程度とする。
  • ルーフドレンの個数は、隣接屋根や壁の面積を考慮した個数とする。
  • 万一のドレンの詰まりを想定し、最低でも2個は設置。
    必要に応じて、オーバーフロー管の設置も検討する。
  • 上階からの排水が植栽帯を通らないような植栽配置とする。
  • 植栽位置は壁面に隣接させないようにする。

ルーフドレインの個数の求め方

ルーフドレンの個数は、雨水排水用の管の径、屋根面積、時間当たりの降雨量予測から求めます。通常屋根面積の計算は、A + Bとされていますが、高層ビルなどの大きな壁面に接するルーフドレンの許容最大屋根面積の計算をするときは、安全のため、壁面積の1/2を加算することに注意が必要です。
A+B+C×1/2=屋根面積

耐風圧について

気候や建物、植物の高さにより、風圧のかかり方は変わります。そこで耐風対策はそれぞれの環境を考慮して、慎重に立てていかねばなりません。屋上緑化にしても、庭園型・薄層・軽量型で耐風対策はことなります。庭園型では正の風圧によるトラブルが多く、薄層・軽量型では負の風圧によるトラブルがよく見受けられると報告されています。

正圧と負圧について

正圧と負圧

建築物の屋根には、強風化において
1. 屋根材の隙間に入り込み、屋根材を吹き飛ばそうとする力(正圧力)
2. 屋根材を持ち上げようとする力(負圧力)
が生じています。
防水層や植栽土壌では特に「負圧力」に対抗し、飛散しないという耐風圧性能が求められます。

※一般に負圧力は屋根の棟部や外周部、コーナー部分に強く働きます。

建築基準法による風圧力算定

風圧力の計算は風圧力の計算は、平成19年に改正・施行された建築基準法施行令 第82条の4「屋根ふき材等の構造計算」、建設省告示平成12年1454号「Eの数値を算出する方法並びにVOおよび風力係数の数値を定める件」および1458号「屋根ふき材及び屋外に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件」に基づいて行われます。

建築基準法
第20条「構造計算」
建築基準法施行令
第82条の4「屋根ふき材等の構造計算」
建設省告示
平12建告第1454号「Eの数値を算出する方法並びにVOおよび風力計数の数値を定める件」
平12建告第1458号「屋根ふき材及び屋外に面する帳壁の風圧に対する構造耐力上の安全性を確かめるための構造計算の基準を定める件」

積載荷重について

建物は建築基準法によって、建物の種類や部分毎に積載荷重の限度が決められています。屋上緑化を計画する際には、この積載荷重に基づいた緑化プランを計画する必要があります。また、1981年(新耐震基準法施工)以前に建てられた建築物は現在と耐震基準が異なるため、十分な検討を行ってから屋上緑化を計画する必要があります。

建築基準法施工令における建築物の積載荷重

室の種類 構造計算の対象 床の構造計算を
する場合
大梁、柱または基礎の
構造計算をする場合
地震力を計算する
場合
1住宅の居室、住宅以外の建築物における寝室または病院 180kg/m² 130kg/m² 60kg/m²
2事務所 300kg/m² 180kg/m² 80kg/m²
3教室 230kg/m² 210kg/m² 110kg/m²
4百貨店または店舗の売場 300kg/m² 240kg/m² 130kg/m²
5屋上広場またはバルコニー 1 の数値による。
ただし、学校または百貨店の用途に供ずる建築物にあたっては 4 の数値による。

植栽別のシステム荷重条件

庭園型 セダム 芝生 草花 低木 中木 高木
土壌厚(比重0.8) 45mm 150mm 150~200mm 250mm~ 300mm~ 400mm~
マルチング 15mm 15mm (オプション:15mm)
システム荷重 60kg/m² 127kg/m² 141~181kg/m² 212kg/m² 252kg/m² 332kg/m²
植栽 土壌厚
(比重0.8)
マルチ
ング
システム
荷重
セダム 45mm 15mm 60kg/㎡
芝生 150mm 127kg/㎡
草花 150~
200mm
15mm 141~
181kg
低木 250mm~ (オプシ
ョン:
15mm)
212kg/㎡
低木 300mm~ 252kg/㎡
低木 400mm~ 332kg/㎡

※積載荷重は含まれておりません。(セダムを除く)

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